Convergent Cross Mapping (CCM)
モデルフリーな手法のため観測データの背景にある力学系モデル(数式)の仮定の必要がない 決定論的な力学系から生じた時系列においては、
結果から原因の類推は正確
逆に原因から結果の類推は不正確
例) 以下の式で表される2つの時系列X,Yの関係性を知りたいとする(解析者はこの式を知らない)
$ X_t=f(X_{t-1})
$ Y_t = g(X_{t-1},Y_{t-1})
XのデータからYのデータ(原因から結果)を予測しようとすると上手くいかない
YのデータからXのデータ(結果から原因)を予測しようとすると上手くいく
これを利用して因果関係の有無を判定する
例) 時系列X, Yがあったとき、
Xから類推した時系列Yと実際の時系列Yは無相関
Yから類推した時系列Xと実際の時系列Xが正の相関を持つ(結果:Y→原因:Xの類推)
時系列Xは時系列Yの原因(の一つ)と考えられる
しかし、実際にはその系に関与している全ての変数を記録することはできない
時間遅れのベクトルを利用した埋め込み(embedding)を行うことで1変数からでも系の動態再構成出来る
なぜ再構成出来るかは、
時系列Xが時系列Yに影響を与えている場合を考える、
異なる時間帯(m - (E - 1)τ から m, n - (E - 1)τ から n)において時系列Yの変化パターンが類似しているとする
このとき、同じ時間帯のXの変化パターンも類似しているはずである(結果:Y→原因:Xの類推)
これを時間遅れのベクトルで作ったアトラクタ上で考えてみる
$ x(t) = (X_t, X_{t-τ},X_{t-2τ},...,X_{t-(E-1)τ})
$ y(t) = (Y_t, Y_{t-τ},Y_{t-2τ},...,Y_{t-(E-1)τ})
τ:時間遅れ
E:埋め込み次元(embedding dimension)
$ y(m)と$ y(n)の座標が互いに近い位置にある(変化パターンが類似している)とき、
$ x(m)と$ x(n)が近い位置に存在すると考えられる
Naa_tsure.iconE次元に埋め込みしているので、1点(x(m)とか)が上の時間帯(m - (E - 1)τ から m)に対応していることに注意
一方で、時系列Yが時系列Xに影響していない場合は逆が成り立たない
$ x(m)と$ x(n)の座標が互いに近い位置にあっても、
$ y(m)と$ y(n)が近い位置に存在するとはかぎらない
手順
時系列YからXへの因果を調べたい
埋め込み(embedding)
因果関係を推定したい時系列データから埋め込みを行ったアトラクタを作成する
例) $ X={X_1,X_2,...,X_T}と$ Y={Y_1,Y_2,...,Y_T}から
アトラクタ$ M_Xと$ M_Yを作成する
このときの時間遅れベクトルは、
$ x(t) = (X_t, X_{t-τ},X_{t-2τ},...,X_{t-(E-1)τ})
τ:時間遅れ
E:埋め込み次元(embedding dimension)
Cross mapping
$ M_Xから時系列Yを類推する場合を考える
1. Mx上における$ x(t)の E+1 個の最近傍点($ x(t_1), x(t_2),…, x(t_{E+1})を拾ってくる
Naa_tsure.iconなぜE+1個なのか?
Naa_tsure.iconE次元上にある任意の点は、E+1個の点の位置ベクトルの加重平均で表すことができる
Naa_tsure.icon二次元平面なら3点の位置ベクトルの加重平均で1点を指定できる
最近傍点と$ x(t)の位置関係は加重平均で表される
$ x(t)=\sum_{i=1}^{E+1} w_{t,i}x_{t_i}
2. $ x(t_1), x(t_2),…, x(t_{E+1})に時間的に対応する$ y(t_1), y(t_2),…, y(t_{E+1})を拾ってくる
先ほど求めた加重平均の重みを利用して、$ y(t_1), y(t_2),…, y(t_{E+1})から$ \hat y(t)を類推する
$ \hat y(t)=\sum_{i=1}^{E+1} w_{t,i}y_{t_i}
3. 1と2の作業を全ての時間に対して行い、$ \hat yと$ yの比較を行う
相関だったり、最小二乗誤差などで類似度を調べる
この類似度が高ければ因果があると言えるわけではない
Naa_tsure.icon単なる疑似相関によって値が予測できてしまっている可能性がある
convergence
疑似相関による類似なのか、因果関係によるものなのかを調べたい
テストに使うデータ数を変化増やしたときに、予測が改善していくかどうかを調べる
https://youtu.be/NrFdIz-D2yM
hl.icon
ref
Stephan B Munch, Antoine Brias, George Sugihara, Tanya L Rogers, Frequently asked questions about nonlinear dynamics and empirical dynamic modelling, ICES Journal of Marine Science, Volume 77, Issue 4, July-August 2020, Pages 1463–1479,